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エフメノ®カプセルとは

エフメノ®カプセルとは

製品特性

1.本邦初の「更年期障害及び卵巣欠落症状に対する卵胞ホルモン剤投与時の子宮内膜増殖症の発症抑制」を効能又は効果とする、経口天然型黄体ホルモン製剤である。

2.1980年にフランス共和国で承認され、現在では世界100ヵ国以上で承認・販売されている。(2025年1月現在)

3.本剤の用法及び用量は卵胞ホルモン剤との併用において、以下のいずれかを選択する。

  • 卵胞ホルモン剤の投与開始日からプロゲステロンとして100mgを1日1回就寝前に経口投与する。
  • 卵胞ホルモン剤の投与開始日を1日目として、卵胞ホルモン剤の投与15日目から28日目までプロゲステロンとして200mgを1日1回就寝前に経口投与する。これを1周期とし、以後この周期を繰り返す。

4.本剤を52週間投与した国内第Ⅲ相臨床試験において、子宮内膜増殖症の発現は認められず、発現率の95%信頼区間の上限が事前に定めた水準である2.0%を下回ったことが確認された(検証的な解析結果)。

5.重大な副作用として、血栓症(頻度不明)が報告されており、心筋梗塞、脳血管障害、動脈又は静脈の血栓塞栓症(静脈血栓塞栓症又は肺塞栓症)、血栓性静脈炎、網膜血栓症があらわれることがある。また、主な副作用(1%以上)として、不正子宮出血(33.5%)、乳房不快感、頭痛、下腹部痛、浮動性めまい、腹部膨満、便秘、腟分泌物等が報告されている。

詳細は、添付文書の副作用及び臨床成績の安全性の結果をご参照ください。

エフメノ®カプセル100mg 適正使用(解説動画)

有効成分の構造について

動画でわかるエフメノ® の構造(解説動画)

黄体ホルモンの分類

黄体ホルモンの分類

各製品添付文書(2021年9月時点)
北脇 城:産科と婦人科 2015; 82(7):733-738. より作成

プロゲステロン、ジドロゲステロン、MPAの立体構造式の比較

ロゲステロン、ジドロゲステロン、MPAの立体構造式の比較

各製品添付文書
Kuhl H: Climacteric. 2005; 8(1): 3-63.
Schindler AE, et al.: Maturitas. 2008; 61(1-2): 171-180.
より作成

乳癌への影響

AACE/ACE POSITION STATEMENT ON MENOPAUSE(2017)

推奨:プロゲステロンの使用が必要な場合、マイクロナイズド化されたプロゲステロンがより安全な選択肢になると考えられる。

乳癌(抜粋)

フランスのE3Nコホート研究は、閉経後女性80,377例を対象に、さまざまなホルモン補充療法(HRT)レジメンと乳癌リスクとの関連を比較検討した。対象の平均年齢は53.1歳であり、平均観察期間は閉経後8.1年であった。

エストロゲンは、プロゲステロン、ジドロゲステロン、 medrogestone、クロルマジノン酢酸エステル、cyproterone acetate、promegestone、nomegestrol acetate、酢酸ノルエチンドロン、メドロキシプロゲステロン酢酸エステルなどのさまざまなプロゲストーゲンとの併用により投与された。

エストロゲン/プロゲステロンおよびエストロゲン/ジドロゲステロンの併用では、リスクの増加はないかわずかであり、統計学的には有意なリスク増加は認めなかった。一方で、ほとんどのエストロゲン/プロゲストーゲンの併用が統計学的に有意なリスクの増加を認めたが製剤間では差はなかった。

これらの研究などは、エストロゲンのみでは乳癌を発症または進行させないという考えを支持するものになっている。エストロゲン刺激を受けた乳房組織がプロゲストーゲンに曝露された場合のみ、乳癌の診断が増加した。

子宮内膜癌の予防のためのエストロゲン療法へのプロゲストーゲンの追加に関して上記の議論を考慮すると、マイクロナイズド化されたプロゲステロンの使用が最良の選択である可能性がある。

プロゲスチンの化学的性質と薬理学の詳細なレビューについては、参考文献を参照のこと。

*:国内未発売

AACE(American Association of Clinical Endocrinologists):米国臨床内分泌学会
ACE(American College of Endocrinology):米国内分泌学会

Reprinted from Endocr Pract., 23(7), Cobin RH, et al., AMERICAN ASSOCIATION OF CLINICAL ENDOCRINOLOGISTS AND AMERICAN COLLEGE OF ENDOCRINOLOGY POSITION STATEMENT ON MENOPAUSE-2017 UPDATE., pp.869-880., Copyright (2017), with permission from Elsevier.
Cobin RH, et al.: Endocr Pract. 2017; 23(7): 869-880.

HRT使用者のHRT非使用者に対する乳癌オッズ比(95%信頼区間)
乳癌オッズ比

※条件なしロジスティック回帰分析
調査エリア、基準日の年齢、初経の年齢、出産回数、初回正期産での年齢、母乳育児歴、良性乳腺疾患の既往歴、乳癌の家族歴、BMI、経口避妊薬使用歴により調整した。

対象:閉経後女性1,555例(症例群739例、対照群816例)
方法:フランスの症例対照研究。症例群は2005年4月から2007年3月に乳癌と診断された25~75歳の女性、対照群は乳癌の既往歴のない女性を年齢別と調査エリア別に同頻度となるように割り当てた。治療薬についての情報はインタビューにより、フランスで一般的に処方されている薬剤一覧を元に入手した。

【本研究の限界】観察研究であり、想起バイアス等に留意すべきである。

Cordina-Duverger E, et al.: PLoS One. 2013; 8(11): e78016.より作図

HRT使用者のHRT非使用者に対する乳癌リスク比(95%信頼区間)
乳癌リスク比

※Cox比例ハザードモデル
閉経からの期間、初経の年齢、出産歴、母乳育児歴、閉経年齢、閉経のタイプ(外科的、自然、または不明)、良性乳腺疾患の既往歴、乳癌の家族歴、BMI、身長、身体的活動量、マンモグラフィ検査歴の有無、地域、調査時期、経口避妊薬の使用歴、閉経前の経口プロゲストーゲンの単剤使用歴により調整した。

対象:閉経後女性80,391例(平均年齢53.1歳)
方法:1925~1950年に生まれ、主に教師対象の健康保険に加入している女性を対象としたフランスの前向きコホート、E3N研究のデータを用いて、HRTの種類と乳癌のタイプ別(組織学的、ホルモン受容体の発現により分類)のリスクとの関連性を検討した。平均追跡期間は8.1年だった。

【本研究の限界】観察研究であり、ホルモン受容体の検査が複数の検査室で行われていたこと、組織学的な確認ができた症例のうち20.9%の症例ではホルモン受容体の確認ができなかったこと、サブグループの中には症例数が少ないものもあったこと等によるバイアスに留意すべきである。

Fournier A, et al.: J Clin Oncol. 2008; 26(8): 1260-1268. より作図

薬物動態と作用機序について

動画でわかるエフメノ®の薬物動態と作用機序

作用機序

プロゲステロンは、子宮内膜上皮細胞に発現するプロゲステロン受容体に結合してエストロゲン受容体の遺伝子発現を抑制すること、及び子宮内膜間質細胞に発現するプロゲステロン受容体に結合して線維芽細胞増殖関連因子の産生を抑制することにより、エストロゲン受容体が制御する細胞増殖関連因子の産生を抑制し、卵胞ホルモンによる子宮内膜上皮細胞の増殖を抑制すると考えられる。

作用機序

ER:エストロゲン受容体、ERK/MAPK:細胞外シグナル制御キナーゼ/分裂促進因子活性化蛋白質キナーゼ、FGF:線維芽細胞増殖因子、FGFR:線維芽細胞増殖因子受容体、P:プロゲステロン、PR:プロゲステロン受容体

遺伝子組換えマウスを用いた研究などから、子宮内膜上皮細胞におけるエストロゲン作用に対するプロゲステロンの拮抗作用は、子宮内膜の上皮細胞と間質細胞の二種類の細胞によって調節されていることが示されている。

これら双方の子宮内膜細胞にプロゲステロン受容体が発現しており、上皮細胞においてプロゲステロンは、エストロゲン受容体の遺伝子発現を抑制する等エストロゲンに対して直接的な拮抗作用を示す。一方、間質細胞においては線維芽細胞増殖因子の産生を抑制することで、傍分泌の経路を介して上皮細胞におけるエストロゲンの細胞内シグナルに対して拮抗作用を示す。

富士製薬工業株式会社社内資料:プロゲステロンの子宮内膜増殖抑制作用
Marquardt RM, et al.: Int J Mol Sci. 2019; 20(15): 3822.